歯周病になると糖尿病を併発しやすくなったり、糖尿病を悪化させることがあります。
口の中の病気と糖尿病がいったいどういう関係があるのかと、怪訝に思う人もいるでしょう。
しかし、歯周病と糖尿病の関係に関しては、近年、双方性の関係があることが判っています。
歯周病は歯周病菌に感染して起きる感染症の一種です。
歯周病菌が歯と歯ぐきの炎症(歯肉炎)を悪化させて、炎症物質が血液中に入り込むと、インスリンの効き目が悪くなってしまい糖尿病を発症しやすくなると考えられています。

また、糖尿病の人は体の免疫力が低下しやすくなるため、感染症にかかりやすくなり、歯周病菌に感染するリスクも上がります。
実際に歯周病に糖尿病を併発している患者さんに対して、歯みがき指導を受けてしっかりと歯みがきをしてプラークや歯石を除去した人は、ヘモグロビンA1cの値が下がってきます。
ヘモグロビンA1cと言うのは、糖尿病のコントロール状態の値を表します。
1~2カ月間の血糖値の平均値的な検査項目です。
この数値が低くなってきたということは、糖尿病がうまくコントロールできていて糖尿病が改善していると言えます。

また逆に、糖尿病のコントロールがうまくいっている人は、歯周病の症状の一つである歯ぐきからの出血も少なくなるという報告もあります。
これは、糖尿病の状態が良くなったことで、体の毛細血管の機能も良くなり、歯ぐきの毛細血管の状態も良くなったために歯ぐきからの出血が少なくなった、歯肉炎が改善したと考えられます。

糖尿病の疑いがある肥満男性歯周病は慢性の炎症性疾患でもあります。
体にとっては炎症物質が作られる原因にもなっていて、糖尿病のみならず、様々な病気にも影響を及ぼしています。
また、肥満や肝炎、認知症、心筋梗塞、呼吸器疾患などとも関連していることが判っていて、歯周病があるとこれらの疾患を合併するリスクも高くなります。

歯周病は30歳代の若年者でも起こり、40歳くらいから進行した状態の人が増えはじめます。
あまり自覚症状がないため、歯がグラグラになったり、歯の根が出てしまった段階で初めて「歯周病かな」と自覚する人も少なくありません。
しかし重症化した場合は、歯を抜くしか方法がないこともあります。
歯周病を早く見つけるためには、定期的に歯医者さんで歯科検診を受けたり、歯石やプラークを除去してもらうことが大切です。
1年に1回、人間ドックや健康診断を受けるのと同じように、歯医者さんで歯のチェックやクリーニングをすることをお勧めします。
また、内科にかかりつけ医がいるように歯医者さんにもかかりつけ医を持つと、あなたの健康管理により一層役立つでしょう。
高齢者だけではなく若年のうちから、対処することが大切です。

歯周病は口腔がんの発症率を上げる

舌にできる舌がん、歯ぐきにできる歯肉がん、舌の底から歯ぐきにかけての口腔底にできる口腔底がんを合わせて口腔がんと言います。
一般の人は口の中の病気と言えば、虫歯と歯周病くらいしか思い浮かばない人が大半でしょう。

口腔ガンの怖さ

口腔がんはあまりなじみの無いガンですが、がん全体の1~3%を占めています。
年間6000人ほどの人が口腔がんにかかっています。
初期症状は口腔内の痛みやしこり、腫れ、ただれ、出血、歯がぐらつく、歯ぐきが盛り上がる、口内炎がなかなか治らない、などです。
歯がぐらつくから歯周病だと思っていたら、口腔がんだったというケースもあります。
また、口内炎だと思って放置していたら、どんどん酷くなってきて重症化してから慌てて病院へ行って、「口腔がんかもしれないから大学病院の口腔外科で診てもらってください」と言われたと言うケースも多いです。

口腔ガンの原因とは

口腔がんの原因としてあげられている要因には、タバコ、酒、口腔内が不衛生な状態、合わない入れ歯、虫歯や歯周病の放置があります。
歯垢(プラーク)には多くの細菌が潜んでいて、実は、便1g中の細菌よりもプラーク1g中の細菌の方がはるかに多いです。
便1g中の細菌の数は100億~900億なのに対して、プラーク1g中には1000億もの細菌が潜んでいます。
そのため、プラークが溜まっていると、口の中は非常に不衛生な状態になり、ひいては口腔がんを発生させやすい状態だと言えます。
がんの原因物質の1つにアセトアルデヒドという物質がありますが、このアセトアルデヒドは口腔内でも産生されます。
口腔内を清潔にすることで、アセトアルデヒドが産生されてもすぐに洗い流されます。

2008年にイギリスの研究者が40歳~75歳の人、約5万人を17年間追跡調査した結果、歯周病のある人は無い人よりも何らかのガンを発症するリスクが14%上がると発表しました。
また、発がん物質が口腔内の血管から全身に運ばれるので、口腔ガン以外のガンのリスクも上がります。
膵臓癌のリスクが54%、腎臓癌が49%増加すると報告されています。

がんは治る時代になったと言われていますが、その生死を分けるのは歯周病や虫歯があるかないか、だと言われています。
がんの治療ガイドラインには、がんを治療する前に歯周病や虫歯は治しておくようにと書かれています。
がん治療前の歯科治療は今や常識です。
それは、抗がん剤治療を受けた人の大半が口内炎やドライマウスなどの口腔内のトラブルが起きるからです。
ひどい歯周病があると、がんの治療を開始するのも遅れます。
がんにならないためにも、万が一がんになったとしても命を落とさないためにも、歯周病対策が重要です。
そのためには定期的に歯医者さんに行くことやかかりつけの歯医者さんを持つことが大切です。

関連記事

このサイトの情報

え、歯周病と糖尿病ってなんか関係あるの!?実はあるんです。歯の病気は思いもよらない重大な病気を引き起こす可能性があります。糖尿病のコントロールはもちろん大事ですが歯周病への意識をしっかり持たなければ、口腔ガンの可能性も出てきます。知るべきことはたくさんありますが、まずは歯周病がなぜなるのかも含め、一つずつ知っていきましょう。

フォロー
google+TwitterFacebookハテナポケットフィード